町家のこの先は

町家のこの先は

通り慣れた道にある一軒の家が、ある日ブルーシートで囲われたかと思うと、あっという間に取り壊されていました。急に取り壊しになると、元々何が建っていたのか分からないものですが、今回のその建物はおそらく町家でした。「あーあ」「またか…」と残念な気持ちになりました。

以前の記事で触れた、町家の耐震調査の報告を聞きました。こちらの負担額は0なのに、すごく詳細な資料が作成されてありがたい限りです。結果としては、地盤は良いが、家自体の状態は良くないというものでした。まあ、築約100年ほど経っていて、その間、風雪や天災に耐え今まで残っているのだから「そりゃそうだろうな」という感じです。改善点としては、建物の基礎や柱、壁など様々あるのですが、この家は、元々の織屋建てを極力変えずに残すことに主眼が置かれているため、選択肢も限られてくるので、悩ましいところです。

「全部ちゃんとやり変えようとしたら、新しく建てる方が安い」ということは何度聞いたか分かりません。熱意や思い入れ、執着が持てなかったら、冒頭の話のように取り壊されてしまうのも仕方がないことだなと思います。しかし、重機でぼろぼろに破壊された跡を見るとやはり胸が痛みます。

家業に入るときもそうでしたが、僕は「無くなってしまうのは勿体ない」という思いが強いようです(根がケチだからかもしれませんが)。そして、せめて自分の次の世代までは残したいという考えもあります。次の世代がどう考えるかは知りませんが、自分の仕事を想うとき、魅力的な選択肢であれたら、と思っています。