鉄骨にまつわるエトセトラ

鉄骨にまつわるエトセトラ

織屋建ての町家は数あれど、このような状態になっている町家はそう無いのではないかと思います。

織屋建ての町家は、奥が土間になっていて、その上に建物を横断する形で太い梁が通っていることが多いかと思いますが、この町家では、梁の下に鉄骨が連結されています。
建てられた当初からこの状態だったとは考えにくく、途中から鉄骨が追加されたものと思われます。この家には以前の住人の方が色々と改修した跡が残っているのですが、その中でもこれが最も大胆なものになるでしょう。

この鉄骨が何のために設置されたのか、色々と推測されました。何らかの理由で梁の強度が落ちてきたため、鉄骨で補強して支えているのか。または、以前は土間に力織機などの機械を置いていて、その操作や整備に関係するのものなのか。などなど。
資料などが何も残っていないので、近所にお住まいの方々に聞いて回ったりもしました(このあたりから夏休みの自由研究感が強くなってきた)。すると、「梁が雨漏りなどでシロアリに食われて弱くなったので、下に鉄骨をあてた」との証言を得ました(その人はその工事を手伝ったとのことでした。驚きですね)。

そしてこの度、工務店の方々に来ていただき、梁を叩いて中の状態を確認してもらうと、やはりというべきか、梁の上半分が下半分に比べて中身が詰まっていない空疎な状態になっていることが分かりました。見た目にはあまり分かりませんが、叩いた音は全然違っていました。このことから、鉄骨は補強目的ということで間違いなさそうです。

となると、今後この梁と鉄骨をどうするのか?ということになります。緊急で直す必要はなさそうですが、このまま放っておいても良いことはないでしょう。梁自体を新しくして鉄骨を撤去するのか、または今の状態のまま梁の空洞部分に薬液を注入して強度を上げるのか、もしくはその他の案か…
個人的には、今の状態は事例として珍しく、風景としてもインパクトがあると感じています。ただ、まあその、何にせよ費用次第という面が大きいのですが…(切実ですね)