素材や道具の話

素材や道具の話

経糸に関係するトラブルがありまして、と言っても本当の原因が経糸にあるかはまだ分かりかねるところなのですが、いろいろ各方面試してみて最終的に糸のところに行き着いたという経緯があって、そして糸屋さんに相談したところ、コーンの巻き方(巻く業者さん?)を変えてみようという話になり、そして、新しい経糸の巻かれたコーンが届いたので整経をしてみたら、以前とは全く違ったので驚きました。
手整経(経糸を手で持って作業していく)なのですが、何というか、適確な表現を探すのが難しいのですが、手で持った感じが柔らかいというか、ふわっとしている、というか。これがもしかして、絹本来の感触なのかな、と。おそらく以前よりもかなり弱い力で巻かれているという感覚はします。言い換えると、以前が相当強い力で巻かれていたのだろうなと思います。これで確実に改善するという保証はないですが、何となく良くなりそうな感じがする、という変化です。
まあ、このように書くと素材に負荷をかけ過ぎない方が良いんだなという話になるのですが、必ずしもそうとは言えないですし(綴は織るときは思い切り経糸に張力をかけますし)、コーンの巻き方一つとってもまだまだ知らないことだらけだなと思い知ったのでした。経験が増えてくると知識の入り口を狭くしてしまいがちですからね…

竹筬(たけおさ)の整理をしています。いろんな所から掘り出しているとも言えますが…上の写真の、横糸を織り込む(打ち込む)ための道具です。分かりにくいかもしれませんが、真ん中の茶色の部分に、経糸1本分の隙間が縦向きに等間隔に並んでいて、そこに経糸を1本ずつ通します。この経糸を通すための部分の素材が竹なので、竹筬といいます。
竹をものすごく細く薄く均等に切って、それを1つずつ等間隔に並べていくという、これぞ職人技といえるような工程で、この道具ができています。そして、このようにして竹筬を作れる職人さんがいなくなったので、現在は製造されていません。現存するものが全てというわけです。新しく製造を試みる動きもあると聞きますが、実用レベルには至っていないとの話です。
竹以外の素材としては、鉄やステンレスの金属製の金筬(かねおさ)があります。力織機などでは金筬ですし、綴織でも金筬が使われているところもあります。
僕の見る限り、綴織の現場では、竹筬と金筬は評価が分かれています。金筬は竹筬に比べて素材的に硬いので、それで糸を織り込む(打ち込む)製品の出来も硬いものになるとして、竹筬を選ぶ意見がある一方で、竹筬は金属製のものよりも品質的にバラツキがあって経年変化する可能性もある、と金筬を推奨する意見もあります。
どちらの方も頷ける内容ですし、個人的には知識経験不足のためどちらかに断言などできません。うちは伝統的に竹筬を使ってきましたが、竹筬の製造の実情もあり、今後はどちらも試していく必要があるな、と感じています。