覚悟を決めて戻れるか?

覚悟を決めて戻れるか?

さて、角帯の制作ですが、いよいよ大詰めを迎えております。まだやってるのか…とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、もうそろそろ終わりますので…

というか、一旦は予定していた寸法まで織れて、これでゴールできたと安堵したのですが、その寸法自体をちょっと勘違いしていたと言いますか、別に今の状態でも使えるけど、これから使っていくうえで、もう少し長くしておいた方が良いというアドバイスを受けたわけです。

要は、歳をとって体型が変化しても対応できるように…つまり太っても大丈夫なようにということです。あまり考えたくはないですが…

一旦終わったと思って気持ちが切れたものを、再始動させるのは結構大変です。どうするか迷いましたが、結局延長して織ることにしました。やっぱり、長く使っていきたいですからね。(太るという前提ではありませんが…)

そして、この延長に伴って、織り上がりに向けて調整していた柄などを、もう少し織り進められるようにするために、ある程度の長さの糸をほどいて戻る必要があります。そして、この一回織ったところをほどく作業が、個人的にものすごく面倒くさいのです。

ほどいていく糸の処理に物理的に手間がかかるのはもちろんありますが、それ以上にせっかくのこれまでの苦労が泡と消えるような精神的なつらさがあります。

僕は、本当にこのほどくという行為をできるだけやりたくないので、織り出す前にどのように織るかということをかなり頭の中で考えて実作業に臨みます。そのおかげでスピードが遅いということになるのですが…それでも何度も織ってはまた戻って、を繰り返す羽目になるよりかはマシかな、と今のところは考えています。

そんなわけで、苦虫をかみ潰したようにほどいて戻っていたのですが(誇張)、一方で、自分が織った表現が自分で気に入らないという理由で、相当な距離をほどいて戻り、また納得のいくように織り直したという職人さんもいらっしゃいます。しかも例によってかなりの御歳の方です。

これが職人気質というのでしょうか。この話を聞いて感心、驚嘆するとともに、自分はまだまだ職人とは呼べないなあ(あるいは、なれないかもしれないな)と思ったものです。

自分が作り進めてきたものについて、その必要に迫られた時に、潔く今までの道を戻ったり、あるいは御破算にしてしまえる覚悟があるかというのは、ものの質を決める重要な部分かもしれません。僕も、もう少し延長戦を頑張りたいと思います。

あと関係ないですが、組織構造が複雑であろうジャカードの織物をほどく時ってどうやるのでしょうね…想像がつかない。異次元の手間がかかりそうな気が…