織り手さんの個性

織り手さんの個性

不思議なことに、それぞれ周期が違うものが、あるときピタッと重なることがあります。

それがちょうど今で、織り手さんにそれぞれお願いしている仕事ができ上がるタイミングが重なり、次への準備を急いで進めているところです。

織る速さは、織り手さんによって違います。
といっても、そんなに大きな差があるわけではありませんが、皆さんそれぞれ違う柄を織っているので、かかる時間もバラバラになるはずです。

そのはずなのですが、不思議なことに、「できあがりました」という連絡が一気に来ることがままあるのです。
これはいつも面白いなあ、と感じます。

織る速さというのは重要な要素だと思いますが、それが最優先されるというわけではありません。
急いでほしいときは、そうお願いしますが、基本的には織り手さんそれぞれのペースで織ってもらっています。

 

 

織り手さんによって違うのは、速さだけではありません。
人に個性があるように、人の技術にも個性があるものだなあ、と感じます。

ぼかし、グラデーションの表現が上手い人。
具体的な柄をきれいに形作る人。
人や動物の顔のような、細かい部分をきっちりと織りあげる人。
風景など抽象的な表現を美しく仕上げる人。
図案に忠実に、狂いなく織れる人。
図案を自分の解釈で上手くアレンジしてしまう人。
質実剛健、しっかりとした生地感で織る人。
軽やかで、しなやかな生地感で織る人。
「それ、大丈夫?」と心配になるような準備の仕方で、全く問題のないものを織ってくる人。

こんな感じなので、仮にそれぞれが同じ柄を織っても、できあがるものは同じではありません。
もちろん、 品質のバラつきは良くないことではありますが、爪掻本綴としての質はきちんと保ってつくれる人ばかりです。
その中で、できあがるものに、つくる人の個性がにじみ出る、というのが面白いと思いますし、それが手仕事の醍醐味とも思います。
そして、どの人にどの柄を頼むと良いものができるだろうか、と考えるのも、また楽しいものです。