段ぼかしの魔法

段ぼかしの魔法

自然現象に多いですが、色と色が、境目を感じさせず、ゆるやかに移り変わっている様子はとても美しいと思います。
目にすると、思わず手を止め足を止め、見入ってしまうことがよくあります。

そういった色の移り変わり、グラデーションを表現するやり方が爪掻本綴にもあります。
そのうちの1つが「段ぼかし」というものです。

 

 

段ぼかしは、色と色との境目をぼかすための技法で、基本的に帯(織物)の端から端までの範囲を、今織っている色から次の色へと変化させます。
服部綴工房では、この段ぼかしをつかって織る柄が多く、帯のお太鼓やお腹の部分で、だいたい4~6色を用いて色の変化を表現します。

上の写真の糸は、今週できあがってきた段ぼかしの帯につかった色糸です。
今回は6色つかっていて、これを下から順番に境目をぼかしつつ色を変えながら織り進めていくというわけです。

そして、できあがりが下の写真です。

 

 

おもしろいのは、隣り合う色どうしが、それぞれ近い色なのか遠い色なのか、また濃い色なのか淡い色なのか、などによって、ぼかしの表情はまったく違ってきます。
そして、さらにおもしろいのは、境目のぼかし方は、織り手さんによって違うということです。それぞれのぼかし方のパターンがあって、自分の知らないやり方を見たり聞いたりするのはすごく勉強になります。

段ぼかしの帯をいくつもつくっていると、ここで重要なのは、超絶技巧な織り方ではなく、色選びのセンスだと分かります。
上手く色を選んで、段ぼかしで織っていくと、糸を並べたところからは想像できないような綺麗な風景を見ることができます。それはまるで魔法のようです。

自然の景色を見ていると、全然違う色と色がなめらかに変化していることがあって、これもまた、魔法のようです。
そして、何色をつかえば、どのように織れば、これが表現できるのか、という思いに駆られます。
色を自在につかえるのが爪掻本綴。段ぼかし1つとっても、できることはまだまだ山のようにありそうです。