平坦からの脱出?

平坦からの脱出?

基本的に、爪掻本綴の生地というのは、どれだけ細かい柄であっても平坦です。

 

綴というのは平織なので、基本的に糸が浮いているところはありません。
特に、唐織のように糸を浮かせて柄を形作るということは全くなく、凹凸のないつるんとした生地に織り上がります。
これによって、帯としての締めやすさ、扱いやすさに繋がっていると思っていますし、この生地感が綴の良さとも言えます。

しかし、一方では、もっと凸凹があってしっかりした質感のものや、立体感やアクセントがあるような生地を好む方もいらっしゃって、そういった観点からすると、綴の質感は「もの足りない」という風に捉えられることもあり、そういう意見に対してどうすれば応えられるか、ということが自分の中の1つのテーマとなっています。

 

 

1つの方策として、物理的に立体感のある生地にするというものがあり、実はそれは昔からよく使われている技法でもあります。

同じ平織でも、粗い組織にして太い糸を織り込むことで、上の写真のように盛り上がった立体感のある織り方にすることができます。

粗い組織にするのは、綜絖(そうこう)という縦糸を制御する道具によるものです。
通常1本ずつ上げ下げする縦糸を2本ずつまとめて上下させ、そこに横糸を3本合わせて織り込むと、通常の綴の組織と比べて変化のあるものになるというわけです。

今は、この技法を柄の一部にアクセント的に使うことがもっぱらです。
それだけでも十分効果はあると思いますが、柄の中での使い方や、横糸の合わせ方など、発想を広げることでもっと応用できるものではないかと思っています。

そして、平坦ではない表現を実現するさらなる方法としては、図案と配色で工夫することが考えられます。
加えてもう一つ、糸染めを工夫することで、おもしろい表現が可能になるのでは、と考えています。
どちらもまだ、アイデアにもなっていない段階ですが、考えを進めていつか挑戦してみたいですね。