普通に価値がある

普通に価値がある

今週は、織り手さんの御宅へお邪魔して、作業を見学させてもらう、教えてもらう、という機会が多く得られた週でありました。

コロナウィルス感染を避けるため、不要不急の外出をしないことが求められている昨今、御宅へお邪魔するというのは憚られることではありますが、こちらにとっては決して不要なことではありません。
そして、場合によっては不急でもないのかもしれないのです。
もちろん、感染を避けるため注意して行動しています。

さて、学んだことの1つは、縦糸の巻取りと糊付けのやり方です。
帯が1本織り上がったら、次のを織るために、帯1本分の長さの新しい縦糸を前の縦糸に1本1本繋いでいき、それを織機に巻き取っていきます。
そして、巻取りが終わると、縦糸を引っ張り張力をかけながら糊を付けて固定します。

 

 

要は、織り始める前の下準備なのですが、この作業如何で商品の品質がかなり変わってくるので、もしかすると本番の織りよりも重要かもしれません。
この巻取りと糊付けは、縦糸をいかに緩めずにセッティングできるかが肝要で、もしも縦糸に緩みがあるまま織ってしまうと、生地の表面がぼこぼこしたような仕上がりになってしまいます。
綴は太い糸を使っている分それが見た目によく分かります。

爪掻本綴は、作業工程も織機も、原始的というか昔ながらのやり方なので、縦糸を繋ぐのも、巻取りも糊付けも基本的には全て手作業です。
なので、どのように身体を動かすか、どのような力加減なのか、といったことは、見て、そして実際にやって覚えていく他ありません。

それに加えて、どういう手順でどこに気を配りながら進めるか、といったことは、織り手さんによって違います。織り手さんもそれぞれ教育を受けてきたからです。人によっては、そもそもやり方が全然異なる、といったこともあります。
そして、特に下準備の工程は、あまり共有がなされていない部分のように感じます。

なので、こちらから積極的に知識や技術を会得しにいかねばなりません。
織り手さんはよく「普通にやっているだけなんやけど~…」という風に仰いますが、その繰り返されてきた普通に、大いに価値があるのですね。
そして、色んな人が持っている普通を共有できる機会があればいいのになあ、と思っています。