唐辛子物語

唐辛子物語

さて、いろいろなことが緩和されつつある昨今ですが、外向きの活動を自粛している間でも、ものづくりには励んでいました。
少し前は、テレワークなどの言葉をよく目にしましたが、うちがお願いしている職人さんは「出機(でばた)」といって、ご自宅などに織機を置いて仕事場とされている方ばかりなので、常時テレワークみたいなものです。
なので、つくることは継続していましたし、その間に織られていた帯が続々と出来上がってきています。
今回は、そんな中の1つをご紹介。

 

 

唐辛子を七宝の形に組んだ、という柄になります。
僕は個人的に「とうがらしっぽう」と呼んでいます。

綴帯で、唐辛子の柄のものというのは珍しいのではないか、と思いますが、うちでは以前から、これとは全く違う形の唐辛子の柄が定番ものとしてつくられ続けてきました。
(写真が手元に無いので、載せられないのが残念ですが…)

その定番の唐辛子柄は根強く人気があったため、長い間ほとんど変化することなく続いてきたのですが、ここにきて、そろそろ新しい唐辛子を生み出す、というお題が生まれました。
そこからが長いトンネルで、二転三転どころか七転八倒くらいの勢いで唐辛子と格闘した末に、この現在の形に落ち着き、晴れて帯として実現したのでした。

奇しくも、というべきか分かりませんが、図案をつくり配色を終え織り手さんに渡したのが、4月のまだコロナウイルス感染が拡大していた時期でした。

唐辛子には魔除けの意味があり、七宝文様は縁起の良いものとされています。
今回の禍に引っ掛けて制作したものではないのですが、出来上がってみると、この先もまだ続きそうな苦境に対して、何か意味のあるものになればいいな、と思わずにはいられません。

 

 

ちなみに、上の写真がお腹の柄で、唐辛子は全部で4色で表現されていますが、これは全て現実に存在する唐辛子の品種の色です。(なるべく近づけました)
日本だけではなく海外のものも含みますが、土地によってこんなにもハッキリと色の違うものが育つとは、唐辛子とはおもしろい食べ物だなと思います。
僕は、辛いものが得意ではないので、食べたいとは思いませんが…