織り手さんの個性2

織り手さんの個性2

以前にも書いたことがありますが、人に個性があるように、人の持っている技術にも個性があると感じることがあります。
帯の柄を織るときのそれぞれの得意分野の違いや、できあがる生地の質感の差異など、本当にさまざまなところに織る人の個性がにじみ出てくるなあ、と感じます。
そして、それはその人が技術を培ってきた過程、つまりは修業時代にどのような環境でどのような教えを受けるか、で大きく変わってくるのだな、と思います。

実際に織り手さんと話をしていて面白いなあと思ったのですが、色のぼかし方1つをとっても違いが顕著に表れるときがあります。
例えば、赤と白の境目をぼかす、といった場合。
うちのやり方では、「割杢(わりもく)」という技法を使って、中間色のピンクをつくり、それを赤と白の間に入れてぼかしの部分を織ります。
一方、割杢で中間色をつくらずに、赤と白を直接隣り合わせにして境目をぼかすやり方もあります。
どちらが良い、悪いという話ではありません。結果的に、中間色を用いるとなだらかなグラデーション的な表現になるし、つかわない場合は色の違いがはっきりと出るような表現になるでしょう。
そして、織り手さんによっては、ぼかす際には必ず割杢を用いるよう教わった人もいれば、逆に全く中間色を入れずにぼかしを織ってきた人もいて、本当に人それぞれで個性が違うなあ、と思います。

 

 

うちの作風としては、先述のとおり割杢を多用していて、ぼかしの部分にはほぼ必ず中間色を入れて綺麗なグラデーションになるようにつくっています。
そして、そのような取り組みや実際の帯を見て、これまで仕事の縁が無かった織り手さんがとても良いと仰って下さったことがあって、とても嬉しかったのです。

これまで、商品の売り手やつかい手から褒められる、ということはとても意識してものづくりをしてきましたが、つくり手から良い評価を受けるという意識は薄かったな、と思うと同時に、この先非常に重要になる部分だな、と感じる出来事でした。