良いということを伝える2

良いということを伝える2

その昔、質の良くないものが大量につくられ、そして大量に販売され、多くの人の手に渡った。
綴にはこんな歴史がある。
当時つくられたもののほとんどは海外製の機械織りの綴で、爪掻本綴とはほとんど別物と言っていいものであるが、使い手にとっては同じ「綴」という認識になってしまうため、綴のイメージは良くないものに成り下がってしまった。

この大量に綴が出回った時期というのが、最も呉服業界の景気が良かった時代のことで、僕はまだ生まれてもいない。
そこから40~50年ほど経過しているわけだが、綴の良くないイメージというのは、いまだに根強く残っている。
そのことについて特に率直に語って下さった人曰く、綴は、
(生地が)硬い、(値段が)高い、締めづらい、柄がコテコテしている、etc、etc…
それらを丸ごと覆すべく、日々ものづくりに取り組んでいるわけでありますが…

このような、典型的な旧来のイメージを持っている人とお会いすることもよくあるが、これはもう逆にチャンスだと捉えるようになった。
なぜなら、ちゃんと良いということを伝えることができれば、イメージが良くなる伸びしろが大量にあるからだ。
180度に近い勢いで考えが変わる人も見てきた。ギャップが大きいほど、イメージが転換する衝撃も大きいのかもしれない。

 

 

しかし、皮肉な話であるが、これまでの話は「ある程度、綴のことをちゃんと知っている人」のケースであることが多い。
そして、比率としてはそういった人よりも、綴のことを「よく知らない」「興味がない」人の方が多くなってきているように感じる。
このような、先入観がほぼ無い状態で良いということを伝え、そして(比較の末に)選んでもらう。これは簡単なようで、実はかなり難しいことではないだろうか。
今までのやり方がこの先だんだん通じなくなるかもしれない。まったく別のアプローチの仕方を考え出す必要がある…と感じています。