綴の生きる道を少し考えてみた

綴の生きる道を少し考えてみた

 

自らあまり言いたくはないですが、爪掻本綴というのは、和装業界の中でも特にマイナーなものだと思います。
営業に出るとほとんどの場合で、珍しいもの、というような扱いになりますし、そもそも流通している量が今となってはかなり少なくなっています。
そんな爪掻本綴(に限らず、綴そのもの)が、この先生き延びていくためにどうすればいいのか?
常々いろいろ考えてはいて、なかなか良い答が見つかりませんが、少しまとめてみることにしました。

綴の位置づけを考えるときに、「価格」と「用途」を基準にしてみました。
価格は「安価/高価」、用途は「趣味・遊び/行事・稽古事」とそれぞれ2つに分けてみます。
(タテ軸・ヨコ軸で、象限が4つできるイメージですね)

綴は、業界のピーク時は「婚礼道具」として最も良く売れ、そこから徐々に実用的な面が大きくなってきた経緯があり、そのため、今でも「高価」で「行事・稽古事」のエリアからの支持が大きく、それに適ったものが多くあります。

一方で時代の流れとしては、趣味的に着物や帯を求める人がだんだんと増加し、隆盛だった「お道具」としての着物や帯は今となってはほぼ無くなったと言えます。
現在では、SNSなどを見ても、昔では考えられないくらいに若い世代が「趣味・遊び」で着物を着ていて、裾野は確実に広がっていると言えます。
そして、そこで求められている着物や帯は、リサイクル品やネット(特にオークション系)で購入されるものが多い印象です。つまり「安価」ということです。

ざっくりとした分類ですが、この考え方だと、綴は時代の趨勢とは対極の位置にいることになります。
居座るのも1つの考えですが、もっと良い位置に移動しようという場合、最も手っ取り早いのは「安価」の方へ向かうことだと思われます。
しかし、綴(特に爪掻本綴)は「全て手作業」で「量産に不向き」という特性があり、「安価」のエリアで勝負することはとても難しく、強引に舵を切ることは、死に向かうのと同義と言えます。

となると、理屈では「高価」で「趣味・遊び」に適するものが最良、ということになります。
「趣味・遊び」と「行事・稽古事」を比べてみても、将来的に伸びしろがありそうなのは「趣味・遊び」の方だと個人的には思います。
しかし、そのような都合の良い組み合わせが成立するのか?既に何かそういったものが存在するのか?はたまた、これから新しい何かが生まれてくるのか?
願わくば、もう席が埋まりかけているような既存のものではなく、新しい世代が新しく生み出すようなものが良いですが…

なかなか良い答というのは見つからないものです。これからも考え続けて、何とか道を見つけていきたいですね。