茜染めの帯が織り上がり、展示された話

茜染めの帯が織り上がり、展示された話

京都・美山の地まで、「茜」を掘りに行ったのが6月。
そして、その茜をつかった草木染めで糸を染めたのが7月。

『茜を掘りにいった話』
http://hattori-t.com/2021/06/26/akanewohoriniittahanashi/

『茜で糸を染めた話』
http://hattori-t.com/2021/07/24/akanedeitowosometahanashi/

 

 

そして、茜染めの糸をつかった帯が織り上がりました。
今回の茜染めでは、結局のところ16色の糸を染めることができました。
黄色に近い色からオレンジ、朱色、ピンク、ローズ、そしてワインレッド・・・
工夫を凝らしながら、色調、濃淡さまざまな16色が出来上がったのでした。
こうなると、もう全部つかいたい、というよりつかわない訳にはいかない・・・
ということで、うちの十八番である、段ぼかし(グラデーション)の柄で制作することに決めたのでした。
お太鼓の柄で8色、お腹の柄で8色と分けています。
普段は各5~6色なので、贅沢なつくりになっています。
織りをお願いしたのは、ぼかしの表現が巧みな職人さん。その腕には何の不安もありませんでしたが、それでも良し悪しを分ける重要な要素になるのは配色です。

配色をする際、心がけたのは2つ。
1つは、できるだけなめらかに色が移り変わるようにすること。
そしてもう1つは、なるべく違う系統の色を隣どうしに置くこと、です。
同系色を隣においてぼかすと、自然なグラデーションにするのは比較的簡単ですが、それだとせっかく今回染め上がった色の幅を活かしきれないと思い、次々と色が変化するような表現を考えました。
その上で、判断の基準になったのは、色の濃さ。
隣どうしの色調が違っても、濃さが同程度なら、ある程度は自然なぼかしになります。なので、隣りどうしの濃淡になるべく差が出ないような組み合わせをとにかく探しました。進めていくにつれ、あちらを立てればこちらが立たず…といったことになって、また少し前に戻って、違う組み合わせを試して…ということの繰り返しです。
あえて濃淡に差をつけてぼかす、という場合もありますが、今回はとにかくフラットになるよう心がけました。
そして、出来上がった配色、織り上がり。自分としては、満足のいく出来だと思います。

 

 

そして現在、ありがたいことに、この帯を展示していただいています。
【京茜 – 伝統工芸と天然染料の未来】
というイベントで、京都美山の茜を未来へ伝承していくこと、がテーマの会です。
(会期は5日(日)まで)
会場は、京都岡崎にある「山科伯爵邸 源鳳院」。美しい庭園を望む、歴史を感じる広い和室、という素晴らしい空間です。
その中で、錚々たるつくり手の方々が茜染めをキーワードに、素晴らしい作品を出品されています。
自分のような未熟者が、このような方々の中に混じって、同じ空間の中作品を並べるというのは畏れ多いことなのですが、いざ展示が始まって、原料の調達から自分で手掛けた作品が美しく飾られているのを見ると、少し誇らしい気持ちになりました。

今回の一連の茜染めの件については、その全てが大きな経験となりました。大変ありがたく感じています。
この展示をもって一区切りとなるわけですが、制作した帯は飾って終わりではなく、身に付けるところまで想定してつくっているので、是非興味を持っていただきたいですし、染めた糸もまだまだ残っているので次にどうつかうか想像が膨らみます。
今回の経験を活かして、またものづくりに励みたいと思います。