技術的な説明について

技術的な説明について

 

爪掻本綴を織るための技術。それについての説明が必要かどうか?
という問いがあれば、おそらく「必要だ」という意見が大勢を占めるのではないかと思います。
不要だ、という結論にはなかなかならないでしょう。
では、技術についての説明が、求められているか?
という問いならばどうでしょうか。
もちろん求められている、と思いたいところですが、個人的には、必ずしもそうではないのでは、と感じています。

爪掻本綴は、織り方も、それによって出来上がる生地もかなり特徴的なので、語るべきところは山ほどあります。(他のものづくりでも同じことだと思いますが。。)
特にギザギザにした織り手さんの爪はインパクトが強いので、ついそこを取っ掛かりにして技術的な説明に進んでしまいがちです。
しかし、「着物を楽しみたい」という考えの人に対して、そういった内容の説明が果たして心に響くのだろうか?と感じています。

着物を着る、ということについての考え方や環境、習慣は、ここ近年でかなり変化してきたように思いますが、それに対して、綴についての説明・紹介・提案の内容や仕方はそれほど変わっていないのではないか、と思ってしまいます。
もちろん、手仕事のものづくりなので、それにかかる手間について知ってもらうことは必要なのですが、そのことが果たして商品を「欲しい!」という感情に作用するのかどうか。
昔は、「技術的に高度であること」と「その商品が欲しい」ということが重なり合っていたことがあったのかもしれませんが、おそらく現在はそうではないのだろうな、と思います。

実際に爪を使って織っているところをご覧になった方の多くは「すごーい!」といった感想を述べられます。
感心したり、褒めていただけるのはもちろんありがたいのですが、その「すごーい!」で敷居が上がっていないだろうか、と思います。
思い違いだったら良いのですが。。。
などと考えていても、技術や技法が変わるわけではないし、全く新しいものを提示できるわけでもない。
見せ方や切り取り方、考え方の転換、という問題だとは思います。