新しい機と新しいつくり手

新しい機と新しいつくり手

 

以前からこつこつと進めていた、新しい綴機(=綴を織る織機)の組み立てがようやく一区切りつきました。
新しい、と言っても、新品というわけではなく、長らく使われずに分解された状態で保管されていたものを組み立てて、使えるようにした、ということです。
爪掻本綴の織機は、電力で動くところが無く、パーツもほとんどが木材なので、比較的簡単に分解、組み立てができて持ち運びできます。
今回の機は、昔に引退された織り手さんが使われていたものを持ち出してきた、というわけです。

ただ、この機、結果的にかなり問題児というか手のかかる織機で、なかなか苦労しました。
まず、新しい綜絖の仕様に合わせて、吊るす箇所を改造する必要があったり、
パーツが合わなかったりそもそも無くなっていたりしたので、代用品を自作するしかなかったり、
組み立ててみると建て付けが悪いので、ボルトやネジなどの固定具が新しく必要だったり、などなど。
分解された機は、1セットまとめて置いておくのが常ですが、保管状況が良くなかったのか、特に細かな部品が散逸してしまっていました。しかしそれを差し引いても、前の持ち主がどう使っていたのか?と疑問に感じるほどに、いろいろと変わった機でした。
今週いざ織り出しましたが、ちゃんと正常に織れるか?を検証する作業が待っています。
ただ、せっかく組み立てたものなので、できれば活躍してほしいな、と思っています。

なぜ、新しく機を組み立てたのかというと、新しい織り手さんが仕事をして下さることになったからです。
もう長く綴の職人をなさっていてキャリアのある方ですが、うちの商品を見て、その表現を気に入り、それを学びたい、と言って扉を叩いてきてくださいました。
職人の不足や後継者の不在が叫ばれている現在、仕事がしたいと向こうから志願してきてもらえるなんてありがたいことはありません。
織り手を含むつくり手の世代交代の問題は、どこまで行っても安泰になることはないと思いますが、こうやって少しずつ協力してくれる人を増やしていきたいです。
そして、改修を進めている町家の工房においても、そこで仕事をする人が増えるというのは、次のステップに進んだことを意味します。
月並みですが、この調子で前進していきたいですね。