アンケートをとってみた
高野山の風景を表した柄の帯です。
(お太鼓の柄です)
山や木々の合間に流れる白い雲。柄全体にわたってぼかしの表現が多用され、幽玄な雰囲気を醸し出しています。
若手の織り手さんの力作です。かなり時間をかけて織り上げられました。
その方にとっては初めて織る柄だったので、どのように織れば図案通り、イメージ通りに織れるか探りながらだったと思われるので、なおさら期間を要したでしょう。
そのように、苦心しながら織り進められる様子を工房で僕も見ているわけですが、この時ふと、
「そういえば、織り手さんが製織中に何を考えているか、どういう感想を持っているか、ということを聞いたことってなかったな」
と思い、織り手さんにごく簡単なアンケートをお願いしてみました。
①どういう所に気を付けて進めていましたか?
山脈の滑らかな傾斜は、大小の木々が生えているように、凸凹させ単調に見えないように織っています。
②織っていてどこが難しかったですか?
山に雲が薄くかかっている部分と濃くかかっている部分のぼかし具合です。
③織っていてどういうところが楽しい・面白かったですか?
織り上がっていく様子が、濃い雲に覆われたところから視界が開け、遠くまで広がるように感じられたところです。
この回答からは、この織り手さんが、図案に描かれている情報からさらにイメージを膨らませて、頭の中の高野山の景色を実際の織りに落とし込んでいる、ということが窺えます。
全て手作業な故に、織り手の感性が反映される爪掻本綴ならではだな、と感じます。
普段織り手さんと会話していても、こういうことを聞く機会はなかったので、新鮮でした。
また折に触れて、いろいろと意見を聞いてみたいな、と思います。
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