日々の制作

ものづくりの日々を切り取ってみました。

新しい松葉

松葉の柄の綴帯が織り上がってきました。

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常緑樹であることから「生命力」、また落ち葉になっても2本の葉がしっかりとくっついて離れないことから「縁結び」「夫婦円満」といった縁起の良い意味のある松葉の文様。

松葉の柄といえば、松葉散らしのように小ぶりなものが沢山配置されているという印象が強いかもしれません。

私たちのこれまでの柄の中にもそういったものは幾つもありますが、今回はちょっと違うものを制作したいという思いがあって、このような大ぶりな松葉になりました。
葉の配置も散らすのではなく、流線的な形を活かして流れを作るようなイメージにしてみました。
そして色の境目を作って、柄の途中で地色が切り替わるようにしています。

配色についても、松葉はやはり縁起良くおめでたい柄。
これまではカジュアルな方に寄せて制作することもありましたが、新しい柄でもあるのでここはひとつちゃんとフォーマルなイメージのものを作ろう、と考えて今回の色合いになりました。

松葉の柄部分の色糸は全て金銀糸が巻かれたものを使っていて、控えめでありながらもきらきらと輝きがあります。
配色は、金色を基調とした中に1つだけ濃い紫色。これは地色の少し赤みのある藤色と連動しているものです。
違う色で作ってみても、また印象が変わって面白いだろうと思います。

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織り上がってきたこの帯を一目見たとき、テンションが少し上がりました。
フォーマル感覚を意識した全体の配色、そして金銀糸の輝くさまがそうさせたのでしょうか。
やはり、よそ行きのモノの持つ雰囲気は、気分を昂揚させるのかもしれません。

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