花喰い鳥と糸染め
花喰い鳥の柄の綴帯。
尾の長い瑞鳥が花の枝葉をくわえている、という柄。
それを流れるような形での表現にしています。
この柄を制作するのは2回目で、前回は濃い地色に別の配色でしたが、今回は薄い地色に軽やかな配色です。
その配色、鳥の尾の部分は色が流れるような、そして花や葉の部分は色を散らすようなイメージとなっています。
花喰い鳥という、由緒のある文様を品良く可愛くできたら…と思い制作しました。
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そして2枚目の写真は、この柄に使った配色糸です。
糸を並べてみると(光の加減もありますが)結構鮮やかですね。
この花喰い鳥の柄、柄の大きさや面積はそれほど大きくはありませんが、その割に使っている色は多かったりします。
メインとなるピンク、紫、黄緑、黄のそれぞれの色で濃淡があって、それをバランスよく細かい部分に配置しています。
そしてこのメインの各色(左側の2色以外の色)は全て、自分で糸染めしました。
普段配色を組むときは糸棚の中から探しますが、3・4段階の色の濃淡にするときなどはなかなかしっくりくる色差で揃えるのが難しく、さらにそれを複数色で成立させるとなると厳しい道のりになると考えたので、もういっそ自分で染めるかと思い、決行しました。
時間は結構かかりましたが、納得のいくものになったと思っています。
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自分で糸染めをしているのには他にも理由があります。
それは今お願いしている糸染め屋さんに後継者がいないことです。
今の職人さんは、機械染めではなく手染めで、自身の感覚と技術を使って手作業で色を合わせるいわゆる「勘染め」をされる方です。
まるで魔法のようなお仕事ですが、残念ながらそれを継承される方がいない。
長くてもあと10年というところだと思います。
そうなるともちろん他の職人さんを探すわけですが、もし上手くいかなければものづくりが続けられなくなる。
そうした事態を避けるために、自分自身がある程度できるように経験を積んでいます。
プロの技にはまだ全然及びませんが、少しずつ自身の技術向上に努めています。
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