岡谷での帯、2本目
昨年から取り組んでいる、長野・岡谷の地での綴織。
「岡谷絹工房」で織っていただいている爪掻本綴の帯、2本目が出来上がりました。
今年の2月に織り上がった最初の1本目から、順調にものづくりは進んでいます。
・・・・・・・・・・
今回は、小さな四角が並ぶ柄。
配色は紫根染めによる糸の濃淡です。
岡谷との関わりができたことで、「宮坂製糸所」とのご縁も生まれました。
ここは国内に残る数少ない絹糸の製糸工場で、国産の繭からさまざまな絹糸を生産されています。
こちらで綴織に使う絹糸づくりをお願いしていて、今回の帯にも宮坂製糸による国産の絹糸を使用しています。
これまでは海外産の絹糸ばかりを使っていましたが、そこに国産糸という選択肢が加わったのには感慨深いものがあります。
今回の帯には、地糸に岡谷の国産糸を使っています。
そして、柄部分の細かな濃淡が必要なところには、これまで紫根で染め貯めてきた以前の糸を選んで配色しました。
これはつまり、新旧の絹糸の合作と言えるでしょうか。
両方を扱ってみて分かることですが、どちらが良い・悪いということは特に無いな、と。
双方に違いがあるというのが興味深いと感じます。(原料も工程も同じでないので当たり前なのですが)
ただ、国内の生産にせよ海外からの輸入にせよ、絶対に安泰とは言えないと感じるので、ものづくりを続けていくためには、どちらも使えるに越したことはないと考えています。
そしてやはり、岡谷での制作にあたっては、岡谷産の絹糸を使うべきだろうと思いました。
一度製糸業が衰退した後も、根強く岡谷で糸づくりを続けている宮坂製糸の糸。
そしてこれまでの歴史を紡ぐかたちで「岡谷シルク」のものづくりを続けている岡谷絹工房。
この2つの重なりから生まれる綴の織物は、私たちにとっても特別に感じます。