素朴な二葉葵
二葉葵を表した柄です。
仕事場の庭先に、毎年少しだけ二葉葵が顔を出します。
数年前に分けていただき、最初は鉢で育てていたのが、いつのまにか地面からも生えてくるようになったものです。
二葉葵というと、よく用いられる文様があり、華やかな印象のものが多いですが、今回の制作ではそこから少し離れて、野に生えているような葵の素朴な感じが出るようなものを目指しました。
肝心の葵の葉をどう表現するか。今回は特徴的な葉脈をできる限り省略しました。
筆で簡単に描いたような表現にしていますが、流麗な線というよりは、あえて少し歪で途切れているような線になるようにしていて、それによって素朴さが感じられるものであればいいな、と思います。
そして配色も、華美にはならずにしかし品良く、そして地味になり過ぎない、という視点で色を選んでいます。
少しピンクを帯びたアイボリーの地色にグレーを合わせ、そこに焦茶色と金茶色でアクセントを加えました。
葵の葉そのものを色を駆使して表現するということはせず、細い線で縁取るように形作り、その囲った内側は地色とほんの少し色を変えています。
二葉葵としては、あまり類を見ない表現ではないか、と思いますが、文様的なものばかりではなく、こういうものがあってもいいのでは、と考えての制作となりました。
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