日々の制作

ものづくりの日々を切り取ってみました。

自然な表現を目指す

 

霞や薄雲といった、
繊細さや儚さがあるものを織りで表すときは、色の境目をぼかすことにこだわります。
図案や配色、そして織り手の感性が問われるところではありますが、綴織独特のぼかしの織り方で美しく仕上がったと思っています。

地色は、落ち着いた鈍色から少し明りが差すような淡い紅色を経て薄鼠色へと至る、色の移り変わり。
その中に霞と細長い薄雲が配されています。
色のグラデーションもぼかしも、割杢(わりもく)という技法によるもの。
とても丁寧な仕事です。

絵画的、あるいは写実的な表現が得意とされる爪掻本綴。
とはいえ、何かを模すのではなく。
特にこういうぼかしやグラデーションを用いる柄は、表されているものがごく自然に感じられるような出来上がりになれば、と思って制作しています。
欲を言えば、織物であることを瞬間でも忘れるくらいのものであれたらと。

身に付ける人も、そしてそれを目にする人も、自然体でいられるような。
そういったものになれたら嬉しいことですね。