日本茜をどう表すか
日本茜をどう表すか。
枝葉や花ではなく、根っこに色を秘めている茜。
中でも、日本に古来からあったのが「日本茜」という今は希少な存在です。
日本茜の草木染め。
媒染材は同じでも、根から色を出すたびに、糸に染まる色が変わっていく不思議。
最初は橙がかった赤。樺色というべきでしょうか。
そこから徐々に赤味が増していき、やがては甘いピンク色に。
染め重ねていくと、鮮やかな、そして深みのある赤になります。
かように色の魅力の詰まった日本茜ですが、その姿形は存外に素朴なものです。
細い茎、小ぶりな葉、小さな花。そして特徴的な赤みのある根っこは土の中。
もし道端に生えていても、多くの人は目に留めないのではないでしょうか。
色そのものが主役なのは草木染めの常。
素材は貴重で尊いですが、あくまで素材。作品の表現にはめったに姿を見せないのではないか、と思います。
日本茜をどう表すか。
それを考えたとき、素材そのものに注目するのも面白い、と考えました。
つまり、日本茜の色を使って、その姿形を表現する、ということです。
根から出るさまざまな色。
それに染まった糸をさまざまに掛け合わせて、根を織る。
そこから茎へ。葉、そして小さな花。
渦になっているのは、意匠としての面白さと、植物の生命力のようなものを感じられたら…と考えています。
自然からいただいた色をどう活かすのか。まだまだ考える余地はありそうです。
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