雑記帳

 
サラリーマンから綴織の家業に入った3代目です。
日々の制作のことや思うことを綴っています。

 

爪掻本綴による七宝文様の帯。
七宝文を繋いで菱の形にしています。

柄を形作るのは全て手仕事。
その中でも、とりわけ円形を織りで形作っていくのは難しいものです。
上下左右対称を目指して糸を織り込み積み重ねていきますが、微かな力加減によってはわずかな違いも出てきます。

このような精密さが求められる柄を(わざわざ)人の手で織る理由は何だろうかと思うことがあります。
今回みたいな七宝文様、しかも割付けというのは、機械に任せた方が良い最たるものだと個人的には思います。
「手間暇がかかっていることが価値」という考えもありますが…もう少し踏み込んでみると、手仕事の妙…といったものが表れてくることだと思っています。

この柄においては、七宝を構成する楕円形のパーツ。
よくよく見ると、この帯のこの柄の中だと、全く同じ形のものは1つとしてありません。
機械ならば寸分狂わず紋の通りの形を織り出すでしょう。しかし人の手だと少しずつ違いが出てきます。
1つ1つが少しずつ違う…にもかかわらず、全体を見ると、とても均整の取れた菱形になっています。
これこそが、手仕事の揺らぎであり、味であり、そして技だと思います。

もちろん、綴織ならではの地風の良さがあることや、過程の写真があることでより伝わる丁寧な仕事…といったことも挙げられます。
そしてこれらは、一目見るだけでは味わえない、ある意味贅沢なものともいえるでしょう。
こういう贅沢はあっても良いと思うし、なかなか表に出てこないこういったことを伝えていきたいと思っています。

 

 

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